●行き場のない人の面倒は誰が見る?
ホテル・旅館の住み込みは昔からワケアリの人が集まってくる所。住・職・食がセットになっている「住み込み」は魅力的だ。
他に働く場所がない人。生活保護も受けられない事情がある人。障害のある人。借金取りから逃げている人。DVで身を隠さなければならない人。児童養護施設から出て住み込みで働かざるを得ない人…。
しかし今のホテルは「住み込み」自体を置く余裕がなくなっている。景気の良いころには現場に余裕があったので、「サポートが必要な人」がいても世話焼きのべテランがいた。今は、人件費がぎりぎりで「手のかかる人」は切り捨てられてしまう。
高齢・病気などで毎年1、2人は現場で亡くなる人がいる。具合が悪くても健康保険に入っておらず医療を受けられない。危篤で家族に連絡をしても「迷惑」「絶縁した」という応答で、孤独に亡くなっていく人もいる。
●繁忙期のために人手を確保
繁忙期、閑散期が激しい観光地のホテル、人手の確保は専門の下請会社や人材派遣会社が担っている。会社はこうした人を受け入れて閑散期にもアパートを借り上げ「住み込み」の人を確保しておかなければならない。もちろん経費は下請会社持ち、そして病気・死亡の時の面倒もみる…そんな良心的な下請会社の社長もいる。フードバンクは生活保護ぎりぎりの「住み込み」の人に食品を提供している。
●家族がいないのも自己責任なのか?
一度、ドロップアウトしたらチャンスはないのか? 良い仕事に就けないのも、お金がないのも、支援してくれる家族や友人がいないのも、障害があるのも、病気なのも、すべて自己責任なのか?
今たまたま幸せな人生を送っている人たちも、いつ災難にあって生活困窮者になるかもしれません。あなたが困った時、助けてくれる人はいますか?(さわ)