フードバンクの周辺⑭ -知らない、つながらない、制度の限界…

▲氏家の西導寺 荒川住職の書
▲氏家の西導寺 荒川住職の書

●障害者自立支援法なんて知るチャンスがほとんどない

 母40代後半、長男24歳・長女12歳・母と娘の障害者年金で生活している。長男は何とか仕事をしているがパートでの非正規雇用のため、賃金は非常に安い。この兄妹は父親が違う。また母親の弟も障害者年金を受給して一緒に暮らしている。以前勤めていた仕事場が閉鎖になり今は仕事がない。母親は部屋やごみの片付けができなく、またお金の管理(お金の使い方)も難しい。年金を受け取るとすぐにジュースやお菓子を買い込み、必要な食費に当てるという考えがない。一緒にお金の使い方など指導する必要があると判断して今は関わっている。

 障害者自立支援法のサービスについて当人たちが知るチャンスはほとんどどない。福祉につながらない限り誰も教えてくれない。学校からの家庭訪問で担任の先生が、非常に心配して、知人のヘルパーに相談し、先生と事業所が連携してサービスを受けられるように手続きをとった。

障害者自立支援法のサービス、居宅介護(ホームヘルプ)を現在は利用している。利用料は所得に応じての支払いなので、この家庭は無料。

 

●困難な家庭を「変な人」と周りは見ているだけ

 近所に大変そうな家庭があってもどこに相談して良いか分からない。困難な家庭を「変な人」と周りは見ているだけでなかなか具体的に関わる相談者につながりにくい。前回ブログで「判断できないお母さん」で書いたが、近所のおばちゃんのおせっかいがお陰でVネットにつながり、ボランティアが家の掃除やアパート捜しから引越しまで引き受けてくれた。

 

●困窮者の相談はヘルパーから

 ある介護事業所の所長さんも話していたが困窮者の相談のほとんどが事業所のヘルパーからの情報だと言う。地域住民の生活支援者である民生委員は個人情報保護法で縛られ、個人の情報を出すことに躊躇し、残念なことに民生委員からの情報は少ない。

 困窮した状況にある人たちの現状や制度の限界を伝えることで「私たち自身がフードバンクというセーフティーネットを作っていく」という必要性を理解して欲しい。11月9日・10日(土日)の1泊2日のチャリティーウォークに今回は参加できない人も、来年はせひお友達、夫、娘、息子を誘って一緒に歩きましょう。(KIKU)

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