フードバンクの周辺 ②自己責任を問えない兄妹

アパート近景
アパート近景

S市の兄妹

 和夫さん(仮名・43歳)は知的障害の妹、房子さん(仮名・40歳)と2人で暮らしている。もともとは両親と祖母と妹、本人の5人暮らしをしていた。

兄妹を取り巻く負の連鎖

 子供の頃、ふらっと家を出て行き道端で寝ている母を、祖母と探し回ったと話す和夫さん。その母も10年以上病院に入院している。父が亡くなり、祖母が亡くなり、もともと親戚との関係も薄いため、兄妹は全く孤立状態だ。

 妹を支えるべき存在の和夫さんは働く意思はあるが、若い頃に交通事故にあい全身に痺れがありなかなか思うように仕事につけない。見た目では判らないがじっくり観察していると、たびたび姿勢を変え痛みに耐えている様子がわかる。

兄妹だけでは問題を全部解決することができない

 祖母が亡くなった後、持ち家を売り、今のアパートに移り住んだ。和夫さんは自分の病気についての悩みや、母の病院の手続きなど誰かに相談することもできなく一人で解決してきた。

 心配なのは怪しい漢方や医療などに高額を使うなど思考することや、判断すること特別に苦手である。何度アドバイスをしても改善されず同じことを繰り返してしまう。

兄の苦悩

 誰しも年をとると文書を読む能力や理解力が衰えるが、きっと役所の申請書類など彼なりに誰かに一緒に付き添ってもらいたい心境だったのではと思う。

 さらに妹は精神のバランスを壊すことがあり、突然泣き出したり、大声でわめいたりすることがある。そんな妹を兄はどうするこもできず、妹と自分の将来に何の光明も見ることができず暗闇をさまよっているのではないかと思う。

フードバンクとのかかわり

 そんな兄妹と3年前からとちぎボランティアネットワークで相談にのっている。そしてフードバンク宇都宮ができてからは、思わぬ出費が出てお金が足りなくなったときはここから食品を届け、家計のサポートをして彼らの人生に付き合っている。

 「もっとしっかりしろ」と自己責任を強調しても、できない人や家族もたくさんいる。応援できる人がつながり続ける方法としてフードバンクはある。(菊池) 

 

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