フードバンクの周辺⑥・・・生活保護世帯の孤立

 5月下旬、食品ほしいと電話がかかってきた。「生活保護受給者だが癌治療中で生活費が残らない」とのこと。事務所に来てもらい話を聞き、食料受け渡しするのが原則だと伝えたが、「交通費もない」というので、明日の水曜日の配送の時に食品お届けすることにした。1週間後6月上旬に再度、食料支援依頼の連絡が入り「事務所まで歩いていく」とのこと。1時間でたどり着く距離ではないのだが…。

  改めて話を聞くと、50代のFさんは娘との2人暮らし。近所での付き合いなし、親類からの支援もない。Fさんは子宮頸がんを発症し治療中。生活保護を受給し、医療費の免除も受けている。ただし生保受給前の治療費40万円を分割で払っており、これが生活費を圧迫していた。娘さんは10数年来の引きこもり。学校卒業後に就職したが職場の人間関係が原因で退職しそのまま引きこもった。kさんの治療開始後、娘さんは在宅でできるアルバイトをしているという話で、ごく僅かながら収入があるそうだ。

 一見、医療費の免除を受けているなら病院までのタクシー代も出るのではと考えるが、実際は主治医の事前承認がないとタクシー代は補助されないという。「緊急時にどうやって事前承認の手続きをしたらいいんだろう」と嘆いていた。

 

 フードバンク宇都宮では生活保護の人には原則として食品は提供しないが、いろんな理由で食品が必要な人もいる。病気、そして一時的な大きな出費・・・。でも、もっと問題なのは「孤立」である。食品の先には母の病気とともに娘の引きこもりの課題もあった。家族が外とつながっているのは生活保護の担当者と病院だけだろう。フードバンクでつながり、その先まで支援できればいいが、人手がいないのが実情だ。6月に支援してから特に連絡がない。安定した生活が送れていることを願う次第である。(ふじ)

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