フードバンクの周辺2014⑥ 彼女は今も過去のことから脱却できず、苦しみながら生きている

よりそい からの電話SOS 

 2014年4月の夜、自宅にいた私のフードバンク専用携帯に電話が入った。よりそいホットラインからの食品支援要請だった。「とてもひどい困窮状況に陥っている女性がいるので、明日本人から電話が行きますのでよろしくお願いします」とのことだった。 翌日の午後に本人から電話が来た。お金がないので食品を支援してもらえませんかということだった。その日の夕方に自宅にお届けすると約束をして、県内某所へ食品を配送することになった。

 

生活感のない部屋

 彼女の自宅は単身者向けのマンションで、配達時は日が暮れていたこともあって、比較的新しい建物なのだが、そのマンション全体に生活感がないような所だった。玄関に到着してブザーを鳴らすと、しばらくして本人が出迎えてくれた。とても痩せていて、ふらついて歩いているのを見ると健康状態も良くない感じだった。食事はほとんど外食で済ませていたらしく、調理道具はほとんどないとのことだった。

 

怪我→無収入→生活困窮

 30分ほど立ち話をした。以前はそれなりに収入のある仕事についていたが、仕事で知り合った男性とトラブルになり自宅マンション(3階)から突き落とされ、怪我をして現在の状況になったという。その後仕事もできず困窮状態になり、市役所に行って生活相談をした。だが、生活保護を受けると今の家賃が生活保護の給付限度額より高いので、引っ越しを検討しなければならない。そして長期にわたって生活保護を受給する場合には車も手放さなければならない。だから生活保護受給は戸惑っていると話していた。

 

複雑に絡み合う要因

 彼女の困窮状況がひどいので、再度寄り添いホットラインへ現状を報告して対応していただいた。彼女がこう着状態に陥っているのは「原因が自分ではないにもかかわらず、被害者である自分が引っ越したり、車を手放すということに納得がいかない」ということであろう。さらに彼女の育った家庭環境もとても複雑なことも要因の一つでもあるだろう。困窮の原因は一つではなく、いろいろな要因が複雑に入り組んで困窮状況を引き起こしていることを理解してほしいと思う。
 彼女は今も過去のことから脱却できず、苦しみながら生きている。(TOK)

 

Facebook
とちぎボランティアネットワーク
フードバンクの周辺