フードバンクの周辺①-苦しい母子家庭、平均年収181万円

茨城県社協さんや茨城・旧里美村の移送サービスNPOの方もいらっしゃいました。濃密でした。
茨城県社協さんや茨城・旧里美村の移送サービスNPOの方もいらっしゃいました。濃密でした。

 昨日のコーヒーサロンは「寺子屋いっぽ」の活動について聴いた。一人親家庭の子に対してボランティアの先生による無料塾の活動をおこなう。代表の石原さんはご自身が母子家庭であり、同じような一人親家庭の経済的な苦しさを知り7年前から活動を始めた。所得格差が教育格差(学歴格差)に直結しているからだ。教育格差はその後の就職の格差、“貧困の世代間連鎖”になっている。

◆一般世帯の38%しかない年収

 2008年の「全国母子家庭等調査」によると平均就労収入(稼働所得)は母子家庭181万円に対して、父子世帯360万円、児童のいる一般世帯588万円と一人親世帯(母子・父子)の収入が低く、さらにダントツで母子家庭が低い。実際にはこれに児童扶養手当などが入るので、総所得では母子291万円、父子455万円、一般658万円となる。稼働所得で一般世帯の31.8%しか収入がなく、総所得でも一般世帯の38.5%の収入である。そこには月給15~18万、手取りで13-16万で頑張っているお母さんの姿がある。

 世帯数は母子123.8万世帯、父子22.3万世帯で8対2の割合。就業状況は母子80.6%、父子91.3%が就業しているが、そのうち正職員の割合は母子39.8、父子67.2。パート・アルバイトが母子47.7、父子8.0となっている。お母さんたちはパートをかけもちしながら必死に子育てしているのだ。

●塾代4万も出せるわけがない。教育格差と貧困の連鎖

 小・中は学費がさほどかからないし低所得世帯には「就学援助」があるが、高校、さらに大学ではそうはいかない。一般世帯は就職難を乗り切るために大卒がトレンドであり、そのためにいい高校に行かせるのが当たり前。つまり高校受験のために学習塾(家庭教師もある)に通わせている。月謝は1教科1万5000円が相場で4~5万は塾代がかかる。年間50-60万円。年収200万円では到底そこまで出せない。低所得世帯では教育そのものをあきらめてしまう親も現れている。

 さらに一人親という状況は子どもとうまくいかないときに別な角度からフォローする人がいないことでもある。思春期の娘に手を焼く父親、荒れる息子の扱いに手をこまねいている母などにっちもさっちもいかない。不登校、ひきこもり、非行、家庭内暴力(子⇒親、ネグレクト等)・・・が長期化・深刻化しやすい状況でもある。

 フードバンクはこうした家庭に食べ物届けるとともに、そうやって開いた窓から、新しい情報をもたらしたり、固着した家庭の人間関係に外の風を送り込む役割ももっている。(やの)

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 なお、塾代もふくめた学費を捻出するために食費を削り、お母さんが食べるのをガマンしたり、入学時の学費や制服・学用品の支出が多い時に困窮することもしばしばです。またパート等の仕事をかけもちするにも自家用車が必要ですが、原則として車をもっていると生活保護が受けられません。そのため生活保護以下の収入でも制度を受けずに頑張る家庭もあります。フードバンク宇都宮はこうした家庭に対して「制度外の自分たちで作る助け合い」として食べ物の支援ができます。食費が浮いた分だけ学費に回せたりしますよね。 

 

※「寺子屋いっぽ」講演内容は、サロン再録として本会情報誌『ボランティア情報』に掲載されます。

 

参考:厚労省「ひとり親家庭の支援につい」http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/pdf/shien_01.pdf

 

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